生活道路での制御介入のための白線の無い走路境界の検出と交通参加者の識別技術の開発

摘要

高齢社会の進展に伴い，高齢者がかかわる交通事故が増加している．加齢に伴う諸機能の低下により運転能力は高齢期以前に比べて低下する事は避けられないが，都市部に居住する高齢者ならば運転免許の返納という対応も選択肢の一つとなる．しかし，公共交通機関の衰退した地方において自動車は日常生活に必要不可欠な存在であり，地方在住の高齢者には何らかの対策が必要となる．都市機能が集約されたエリアに居住している場合は，走行速度の低い小型車両への乗り換えも有効な選択肢となるが，都市機能が分散している田舎では既存の自動車と同様の移動機能が依然として求められる．以上の背景より，運転能力の低下した高齢者の日常的な移動を安全に支えるために，自動車の知能化が必要であると考える．自動車の知能化には，制御アルゴリズムや人一機械系協調等の領域と同様に，外界認識技術にも様々な課題が存在する．既存の運転支援技術は高速道路等の比較的安定した状況等を主な対象とした物が多いが，本研究では生活道路等での通常時の走行も支援の対象状況に加える必要があり，その状況に応じた外界認識技術が必要となる．また，日常的な運転において危険に近寄らない様な運転支援を実現するためには，周囲の交通環境を理解し，リスクの先読みに繋がる様な認識技術を構築する必要があり，センサフュージョンによって複数の情報を組み合わせた高度な認識技術を開発する必要がある．本研究ではこの様な走行環境を理解する認識技術への第一歩として，白線の無い道路での走路境界の検出と道路境界構造物付近の交通参加者の識別に取り組hだ．