高分子グラフトチタン酸バリウムの誘電特性

摘要

高分子系誘電材料は柔軟性，軽量性ならびに加工性に優れるという特長があるが，その比誘電率ε_r'は 3 程度と小さい. そのため，高いε_r'を有するBaTiO_3（BT）を添加することにより高誘電率化が試みられている. しかしながら，高分子マトリックスとBT粒子の親和性が低いため，マトリックス中にBT粒子が均一に分散しないことが実用上の問題の一つとなっている. 一方，われわれはこれまでに，シリカナノ粒子やカーボンナノチュープなどの無機物質表面に高分子鎖を高密度にグラフトすることにより，高分子マトリックス中で無機物質が均一に分散した複合材料を得ている.そこで本研究では，BT粒子表面にポリメタクリル酸メチル（PMMA）をグラフトすることにより，PMMAマトリックス中にBT粒子が均一に分散した複合材料（PMMA-BT）を作製し，その誘電特性をPMMAとBTを単純に混合することにより作製した複合材料（PMMA/BT）と比較検討した．