綿布-氷及び綿布-固化エチレングリコール水溶液複合系の交流絶縁破壊特性

摘要

環境に優しい極低温機器用の電気絶縁材料を目指して、本研究室は氷に注目して研究を行ってきた。これまでに、竹·竹パルプまたはケナフ·ケナフパルプと氷の複合体の交流絶縁破壊特性を測定し、それらがGPRP（ガラス繊維強化プラスチック）に匹敵する絶縁性能を持つことを本研究室は報告している。筆者らはこれらの複合体、つまり天然繊維-氷複合系の交流絶縁破壊特性の向上を目的に、氷の代わりに固化アルコール水溶液を使うことについて検討してきた。最初のステップとして、固化アルコール水溶液単体の交流絶縁破壊特性を測定したところ、氷よりも高い交流絶縁破壊特性が得られることがわかった。しかし、高い交流絶縁破壊特性が得られた濃度領域では、破壊電圧値のバラツキが氷と比べて非常に大きく、最小値が氷のそれを下回る場合があった。非常に大きいバラツキの原因は試料間で固化状態が異なることと考えられ、固化状態を制御して試料間で均一にすることで、破壊電圧値のバラツキを抑制できると思われる。その方法の一つとして、非水溶性物質と組み合わせることで氷結晶の成長を制御することが考えられる。