ダウンサイジング過給エンジンを考慮したトルクコンバータ流路の小型偏平化技術

摘要

近年，燃費性能向上の達成手段の一例として，ダウンサイジング過給エンジンの適用が挙げられる．そして，その変速機には，イージードライブ性はもちろh燃費性能の観点からも，自動変速機が選択される場合が多く，その発進デバイスとしては主にトルクコンバータが搭載される．トルクコンバータの利点は，流体を用いたトルク伝達，増幅機能による滑らかで効率の良い発進を，外部制御の必要なく達成できる点である．この発進性能，すなわち駆動力とエンジン回転上昇の時間推移は，トルクコンバータ特性（流体性能）とエンジンの出力特性のマッチングで決まるため，狙いの発進性能とエンジンの出力特性を考慮したトルクコンバータ特性の設定が重要となる．また，トルクコンバータ特性は燃費性能への影響も大きく，特に速度比が1.0に近い高速度比域の高容量化ニーズが大きい．さらに近年は，トルクコンバータのロックアップクラッチ作動時において，エンジントルク変動を十分に減衰するダンパが強く要求される．この高い減衰性能を有するダンパを，レイアウト制約が厳しい前輪駆動車（FWD）用トルクコンバータ内に配置するためには，流路の小型偏平化が極めて重要となる．