燃料電池ごみ収集車の環境性能および実用性の評価（第3報)－1年間の実証試験データに基づくCO_2削減効果の解析と更なる改善策の検討

摘要

地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO_2)の排出量削減に向けて，電力や水素など新エネルギーの自動車への適用に関する研究が世界で活発に行われている.水素を燃料とする燃料電池車はエネルギー効率が高く，特に長距離を走行する乗用車や走行エネルギーの大きい重量車への適用が期待されている.本研究では，山口県周南市を研究地域とし，図1の燃料電池ごみ収集車（FC車)を開発し，従来のディーゼルごみ収集車（Diesel車)を代替することによるCO_2削減効果と，その実用性の研究を行っている.FC車は，CO_2排出量削減の他，走行中に有害な排気ガスを排出しないことや，騒音レベルが低下することなど，社会調和性の向上も期待される.本論文では，山口県周南市の2つのごみ収集ルートで行われた1年間の実証試験データを基に，同ルートで運行したDiesel車の1年間の運行情報と比較し，FC車導入時のCO_2削減効果を算出する.ごみ収集車特有の車両エネルギー消費特徴を解析する.その特徴を活用し，車両消費エネルギーの更なる改善策として，FCシステム出力値の変更による高効率化策と減速時の乗り心地を考慮した回生エネルギー増大策を提案し，車両シミュレーションによる改善率を算出する.