可変圧縮比エンジンVC-T用シリンダブロックのロードキャンセリング構造

摘要

自動車が持続可能な社会の一員として共存していくためには，環境負荷の低減は当然の取り組みである.一方で，内燃機関には燃費等の環境負荷低減のみならず，運転快適性の一つである十分な動力性能の確保も要望されている.この相反する性能要求に対する一つの取り組みとして，世界で初めて可変圧縮比(VCR)機構を搭載したエンジン（VC-T)の開発を行った.可変圧縮比機構は，従来エンジンでは，変化させることのできなかった圧縮比を変化させ，高効率運転時には高圧縮比に，高負荷運転時には低圧縮比に連続的に変化させ,相反する性能の両立を可能とした.圧縮比を可変させるエンジンは，様々な研究開発がされている中で，2次振動低減効果のような静粛性とフリクション抑制，熱効率が優れるロングストローク化への拡張ポテンシャル等，様々な副次効果のあるマルチリンク機構を採用した.