制振鋼板パネルの振動特性に及ぼす拘束条件の影響

摘要

制振鋼板は、自動車パネル用制振材料に多く用いられている非拘束型制振材に比べて、パネル重量が軽くても非拘束型制振材と同等以上の制振性が得られる利点があるが、制振鋼板のような拘束型制板材の場合、温度·周波数による粘弾性樹脂特性の変化に加え、振動形態やパネルの境界条件も制振性に影響を及ぼすことから、実構造物適用時の定量的制振効果予測の困難さを伴う欠点がある。これまでの調査で自由端の試験片の場合、制振性がピークとなる温度付近では、周波数と損失係数の関係が、試験片サイズや振動モードによらず、ほぼ同一帯上に分布することが明らかとなった。パネルの固定条件や更にはパネルの形状によらず、常に制振ピーク温度域で周波数と損失係数の関係が同一帯上に分布するのであれば、この関係を利用して、実パネルの制振性予測に利用できる可能性がある。そこで、今回は、制振鋼板パネルの周囲拘束条件の影響について調査したので、その結果について報告する。