ICTを用いた北方型住宅向け日射エネルギー活用システムに関する研究開発－第2報：室内環境制御システムの開発

摘要

現代に暮らす私たちの生活は，化石資源を始めとするエネルギーの大量消費によって支えられている．北海道の場合，真冬日の期間が1.5か月～3か月にも及ぶこともあって，住生活の暖房や給湯に極めて多くのエネルギーを消費している．これまで，省エネと快適さの両立を求めて，住宅の高性能化や省エネ機器の普及拡大が進められてきた．前者の例として高断熱·高気密性能を有する北方型住宅，後者の例として低温下でも稼働する空気熱式ヒートポンプなどが挙げられる．ところが，北海道の中でも特に冬の寒さが厳しい太平洋沿岸東部地域（道東地域）では，空気熱式ヒートポンプは機能的にも経済的にも適用が困難なことから，この地域に適した省エネ対策が求められていた．一方，道東地域は，降雪量が他の道内地域に比べて少なく，日照時間が関東地域に匹敵する恵まれた地域である．また，厳冬地域の住宅では，従来から，居室全体の暖房がおこなわれてきたが，最低限度の室内気温を確保した上で，在室者の周囲だけを局所的に環境調節することができれば，大幅な省エネを実現できると考えられる．