電場の過冷却解消効果に対する過冷却蓄熱管の傾斜の影響(第1報 室温における塩化ビニル管内の水-油界面の不安定現象）

摘要

液体が過冷却状態を解消する際に，その温度が凝固点まで上昇する現象が知られている.凝固点は元の温度より高いから，過冷却状態は見かけの蓄熱状態とみることができ，その利用が研究されている.この蓄熱法は，エネルギーを使わずに，物質の性質を利用して温度上昇を可能にする.環境温度よりも高温が得られるので，寒冷地の冷気利用への応用等が期待される.解消時の温度上昇および直後の凍結量は，過冷度に見合う分のみであって大きくはない.しかし，蓄熱量は蓄熱液量に依存するので，大熱量化の可能性もあり，研究の進展が望まれる.本研究では，第一段階として，蓄熱管の傾斜に着目し，蓄熱管側面に設けた正·負両電極を含む面と水平面がなす角度を変えて，電場による管内の三相境界及び液液界面の挙動等への傾斜の影響等を報告する.