作物生産における太陽エネルギーの分割利用－赤色LEDによる暗期中断が中性植物エンドウの花成に及ぼす影響

摘要

以上のように、赤色LEDによる暗期中断は、エンドウの花成を促進した。しかしながら、元来、日長反応性を示さない中性植物であるエンドウにおいて観察されたこの反応は、自然日長が異なる環境下で異なる反応を示さないこと、また、初花房の着生節位が暗期中断によって低下しないことから、日長反応とは異なる反応に起因すると考えられる。この反応が日長反応でないのであれば、夜間に照射する必要もなく、赤色光であることさえも必要条件ではない可能性がある。この点を明らかにするために、青色、緑色、黄色など、他の波長域の光の効果についても調査を進める予定である。また本研究の結果、暗期中断による早生化効果は、品種や作型に依存せずに一定であることが示された。ただし、‘紀の輝’は、‘きしゅううすい’と‘美笹’との交配によって育成された品種であるため、供試した2品種の遺伝的背景がよく似ている可能性がある。したがって、本実験の結果に基づいて遺伝子型による反応の違いを議論すべきではない。しかし、少なくとも供試品種の遺伝的背景下では、暗期中断による早生化は作型を問わず利用できる。両品種が作付のほとhどを占める和歌山県では、この技術は早生化を目的とした汎用性の高い栽培技術である言える。