溶湯直接圧延による自動車用アルミニウム合金板材の製造（第3報 A5052板材の組織と性質）

摘要

前報では、開発したMDR設備を用いて自動車のホイールに用いられるA5454 (A1l-2.7%Mg-0.8%Mn-0.2%Fe)合金板材の製造実験を行い、その50%冷延500°C短時間焼鈍材が市販の0材と比較して結晶粒微細化のため強度延性バランスが良く、n値、r値も高いが、合金成分の偏折により曲げ成形性が劣ることを明らかにした。このようなMDR材の特性が他の5000系合金にも共通のものであるかを確認するため、車両にも用いられる代表的5000系合金であるA5052(Al-2.6%Mg-0.3%Cr-0.1%Fe)合金について同様の方法で板材の製造実験を行った。この合金についてはDC鋳造·熱延·冷延·焼鈍による従来プロセス材のほかに双ロール薄板連続鋳造(SC)·冷延·焼鈍による板材も市販されているのでMDR·冷延·焼鈍材と比較することによってMDRとSCの相違を明らかにすることも目的とした。