超音波スペクトロマイクロスコピーの基礎とその応用展開

摘要

塑性加工においても環境負荷低減、CO_2排出大幅削減に向けて環境対応プロセス化が1つの大きな課題となっている。特にプレス加工あるいは切削プロセスにおいて、多量の潤滑剤の使用ならびに加工後の洗浄剤の使用など、加工性を向上させたいがために環境負荷を増大させているとの指摘もある。超音波の利用は、第1にこの大量消費される潤滑剤·洗浄剤を極限までに低下させても、プレス成形性あるいは切削性を保持する有効な手法として注目されている。さらに超音波技術はもともと非破壊検査手法として育成されてきたことから、材料加工における表面性状、表面力学特性などを実時間で評価し、ドライ加工、ドライ切削に向けた金型表面、工具表面の健全性を評価する手法としても期待が大きい。ここでは、研究者らが研究開発してきた超音波スペクトロ·マイクロスコピー法(Ultrasonic Spectro-Microscopy)を基調として、ドライ加工·ドライ切削に向けての金型·切削工具の表面材料非破壊評価法について述べる。