沼島プロジェクト－離島·漁村における直流技術による自立分散エネルギーシステム技術の実証研究

摘要

高齢化·過疎化による一次産業の衰退が深刻となっており，ここでの実証研究のフィールドに設定している兵庫県南あわじ市沼島（ぬしま）においても，人口·世帯数の推移は図1に示す通りとなっている．離島あるいは沿岸の小規模町村は漁業に依存するところが多いと思われるが，二酸化炭素の排出量の面からみると，図2に示すように漁船によるものの比率が大きい．しかし，漁業（沼島の場合は小規模であるが）を行うためには，漁船の運用は避けられないことが悩ましいところである．他方，地球温暖化が問題となりつつあったところに，急にエネルギー危機が顕在化してきた．これは，我が国の存続が依拠する二次あるいは三次産業に大打撃となることも避けられない．過疎化·高齢化，地球温暖化·エネルギー危機といった背反する課題をどの程度の緩やかさで徐々に進行させるのか．これは複雑系制御の問題であり，一意解はもちろh存在しない．ただ，その一つの基盤的要素がエネルギーであることは明白である．巷でいわれている再生可能エネルギーがその役割をどこまで果たせるのかについては，未だこれからの問題である．