油圧ショベルにおけるバケット先端の負荷力推定

摘要

災害現場や原子力施設などに人が立ち入って作業をするのは困難かつ危険であり，また，建物の建設·解体作業において，街並みや景観を壊さないよう建物内部で機械作業を行うと，エンジンの排気ガスが室内に充満したり，粉塵が舞い散ったりするので，機械操縦者の安全を確保できない．このような作業では機械を遠隔操縦するシステムが有効である．日本においては雲仙普賢岳の火山災害の復旧を契機に，主に土砂災害に対する災害復旧技術として無人化施工技術が開発され，福島第一原子力発電所の事故現場での瓦礫処理にも活用されている．ここで，無人化施工技術とは，遠隔操縦仕様の建設機械と遠隔操縦に必要な画像関連技術，信号伝送技術，これらをまとめてシステム化する技術，遠隔操縦を行う操縦者等々の総称である．しかし，従来の遠隔操縦では，実際に建設機械に搭乗して操縦している場合と比べて作業能率が低下することや，遠隔操縦に対応できる熟練したオペレータが減少傾向にあることも問題となっている．遠隔操縦における作業能率低下の原因のひとつとして，視点や周囲からの音·振動·力などが搭乗時とは異なることが考えられる．そこで，カメラ映像等による視覚フィードバックだけでなく，振動や力覚等の感覚フィードバックを用いることで，作業能率をより搭乗時へ近づけられるのではないかと考えた．本研究では，屋内解体もできるような小型バックホウを用いて，遠隔操縦における感覚フィードバックの有効性を検証することを目的とし，その感覚フィードバックに必要なバケット先端の負荷力推定を行う．