ヒューマノイドロボットから精密プレスまで：油圧の新しい使い方

摘要

古臭いイメージが強い油圧技術がロボットの分野においてにわかに脚光を浴び始めている．その理由の一つはマスコミにしばしば登場する米軍のロボットであろう．蹴っても倒れないBoston Dynamics 社の4 脚ロボットや，米国で開催されているDRC（DARPA Robotics Challenge）に出ているAtlas というヒューマノイドロボットは見るからに丈夫そうである．情報収集用の小型ロボットとは異なり，「作業ロボット」は力を出して作業を行なう必要があり，極限環境で使用するためには，まず頑丈でなくてはならない．油圧技術は建設機械に象徴されるように，信頼性が高く壊れにくいというイメージがあるが，だからといって建機がそのままロボットとして利用できるわけではない．例えば，建設機械において軽量化の必要性は低い．自立性，制御性，速度，パワー密度等，様々な要件がロボットと建機とでは異なり，油圧技術をロボットに適用するためには少なからず工夫が必要である．本稿では以下，著者の研究グループにおける二つの工夫について紹介する．その一つは軽量性と柔軟性をもたせる工夫であり，もう一つは精密性をもたせる工夫である．前者は作業移動を行なうロボット，後者は油圧プレスなど産業機械の高度化のための工夫である．