鉄道乗務員スケジューリングへの分解アプローチ：産学連携の取り組み事例

摘要

鉄道分野におけるスケジューリングは路線や利用客の増加に伴い近年自動化が求められており,自動計画立案へのシステム最適化技術の期待が高まっている.鉄道分野には列車ダイヤ編成をはじめとして数多くの最適化問題があり，大規模な離散最適化問題として定式化される.近年では,数理計画分野と計算機技術の発展により,従来は解けないとされてきた大規模問題が実用的な時間で解けるようになり,国内外を中心に鉄道分野における最適化問題に対して,数理計画手法を適用した乗務員計画の研究事例も報告されている.本稿では,著者らの産学連携研究による取り組みとして,乗務員運用計画や鉄道乗務割交番の自動作成技術への分解アプローチによる数理計画手法の適用に関する研究を進めてきた.乗務員運用計画問題は,一日分の各乗務員の列車への勤務を行路決定問題と,行路を乗務員に割り当てる順番を一つの勤務ローテーションとして作成する乗務割交番作成問題に分類される.本講演では,産学共同研究を進めるにあたり,産学がどのように連携して研究を進めてきたかについて説明し,産学連携研究の意義について述べる.