O-型糖鎖修飾部位の予測における立体構造や生化学的情報の有効性

摘要

糖鎖はタンパク質や脂質に結合することで，多様な生命現象における重要な役割を果たしている．中でも，哺乳類の糖タンパク質において，O-型糖鎖修飾は主要な糖鎖修飾であり，セリン(Ser) またはトレオニン(Tre) のアミノ酸に特異的に付加することが知られている．しかし，その修飾メカニズムやコンセンサス列の存否は未解明である．一方でタンパク質配列データベースであるUniProt は，最新の実験的情報をもとに随時更新されている．著者らは，階層型ニューラルネットワークおよびサポートベクターマシン(SVM) を用いてUniProt 上のアミノ酸残基配列から修飾部位の予測を行う研究[1] においてMatthews 相関係数が0.5 程度の性能を得ている．本稿では，アミノ酸配列の他に，修飾に関係する可能性が考えられる立体構造や生化学的情報をSVM の入力に追加し，その性能を比較する．追加情報としては，タンパク質の局所的な立体構造である二次構造，タンパク質表面へのアミノ酸残基の露出度を表すアクセシビリティ，アミノ酸の疎水性度合を表すハイドロパシー指標の3 つを比較する．