尿素SCR 用インジェクタから噴射される尿素水挙動および生成化合物の予測（第3 報）：高温流動場における噴霧挙動の数値解析

摘要

年々強化される排出ガス規制に対応するため，ディーゼル機関は後処理装置の導入が必要不可欠である．排出ガス中に含まれるNO_x 低減には後処理装置として，尿素SCR (SelectiveCatalytic Reduction) およびNO_x 吸蔵還元触媒が用いられる．NO_x 吸蔵還元触媒はリーン条件下でNO_x を吸蔵し，一時的にリッチ条件を作り出すことでNO_x の還元除去を可能とする．しかし，燃費悪化が避けられずNO_x 浄化率も尿素SCR に及ばない．尿素SCR は，SCR 触媒前段に設置されたインジェクタから尿素水を噴射し，尿素の化学反応によって生成されるNH3を用いてSCR 触媒上でNO_x をH_2O およびN_2へ還元除去を可能とする．排気管内に噴射された尿素水の水分蒸発後，(1) 式に示す尿素の熱分解および (2) 式に示すイソシアン酸の加水分解によりNH3 が生成される．