極小径研削工具による超微細穴あけ加工

摘要

研削加工は硬脆材料の加工に広く用いられ，高品位な仕上げ面が得られ加工コストも低い.一般に平面や曲面の仕上げ加工に用いられるが，穴あけ加工にも応用されており，内径1mm以下の微細穴加工も行われている.しかし，サブミリ径未満の穴あけ加工に成功した例は報告されていなかった.そこで筆者らは，放電加工成形された超硬合金極小径軸を研削工具に用い，内径0.1mm未満の穴あけ加工を試みた.放電加工面には放電痕による微小な凹凸が付与されており，これが砥石における砥粒切れ刃の役目を果たすため研削工具として使用することができる.その結果，内径10μmまでの微細穴あけ加工に成功した.しかし，超硬合金工具は摩耗量が大きく工具寿命が短かった.そのため，工具材質を焼結ダイヤモンド（PCD)に変更して工具摩耗の大幅な低減を図った.研削抵抗の増加が抑えられることでさらに小径の工具を用いることが可能になり，クラウンガラスや単結晶シリコンに対し，直径5 μmの工具を用いて内径5.5 μmまでの微細穴あけ加工に成功した.