脳皮質電位による言語·記憶機能野の局在解析

摘要

我が国のてhかh患者総数は約100万人と推定され、そのうちの20万人は薬剤抵抗性の難治性てhかhとされている。一般に海馬硬化を主体とする典型的内側側頭葉てhかhに対しては、海馬を含む側頭葉切除術により68%で発作消失、24%が改善と良好な結果が得られている。しかし、内側側頭葉てhかh以外の症例には種々の手術法が用いられているが、てhかh焦点の病態の多彩性のため手術効果は様々である。この治療ではてhかh学、神経科学が複雑に絡み合っているため、その病態、ヒト認知機能局在を明らかにすることで、より確実な治療方針の立案が可能となる。また、昨年の東日本大震災では、てhかhは発作を起こさない限り治療優先度が低いとトリアージされるため、災害時にてhかh患者診療が後回しにされることが問題となった。このため常に国際標準、またはそれ以上のてhかhへの積極的な治療を心がけることが極めて重要である。難治性てhかhでは画像上の異常がない、または両側性てhかh源性を有する患者では、外科治療のために焦点を電気生理学的に捉えるために頭蓋内電極を留置することが多い。通常はこの留置した頭蓋内電極により、てhかh発射源の同定、および脳皮質電気刺激による言語機能マッピングを行っている。本申請では頭蓋内電極より様々な課題を行うことで、運動、言語関連、記憶関連機能の画像化を試みた。個々の患者において行った課題、提示刺激で誘発された脳皮質電位(Electrocorticogram: ECoG)の時間·空間的広がりのパターン化を行った。特に記憶関連ECoG の有無と手術による記憶障害出現程度について比較した。さらに複数の自動判別関数を用いて課題別ECoG 反応のClassification に応用し、より効率的な脳信号の抽出を試みた。また、患者間で留置電極位置にばらつきがあるため、標準脳にECoG 電極位置座標を変換·重畳した。これにより標準脳上に高解像のECoG の時間的変化過程を描画した。これらを組み合わせることにより、言語、記憶機能野の同定、およひ典型的な認知ECoG 反応ダイナミクスを解析する方法を開発したので報告する。