歩き易い腰部負担軽減具の開発

摘要

現代においても腰痛を起こしやすい職業は多く,保育·介護現場,工場内での各種作業,荷物の運搬業などがある．そこで身体的負担を軽減するため,ヒューマンアシストツールと呼ばれる技術が活発に研究されている．しかしながらロボット等は研究段階にあり,たとえ実用化されても高価,複雑となる欠点がある．本研究では樹脂製フレームとゴムを組み合わせることで,簡単·低コストでありながら前屈時の腰の負担を大きく軽減する背負子型腰部負担軽減具を開発した．腰の負担が大きく軽減されることは実証済であり,複雑で高価なロボットと比較して現実的である．簡単な装具で腰の負担を軽減しようとする研究は海外でも行われている．しかしながら何れも歩行中にもゴム張力が作用するため歩き難くなることが問題である．そこで前屈時と歩行時の動作に従い弾性力をON/OFF するクランプを考案し,試作した．前屈時はクランプをON にして,前屈に従いゴムベルトを伸展させることで腰への補助モ－メントを得るためにゴム張力を利用する．一方,歩行時はクランプをOFF にすることで,ゴム張力は発生しなくなり歩き易くなる．本報ではその原理と評価結果について述べる．