共創システムにおける要素間コミュニケーションに対する条件

摘要

従来，生物のように自律した要素同士がコミュニケーションを行うことで秩序を創り上げていくシステムとして自律分散システムの研究が盛hに行われてきた．そこでは要素の均一性が仮定され，その仮定の下でシステムの自己組織化のメカニズムを解明し，そのメカニズムに基づきシステムを構築するといったことがなされてきた．しかし，実際の生物は各要素に個性があり，個性を有する自律した要素（個体）同士が身体を介してお互いにコミュニケーションを行うことによって共同して多様な秩序を形成している．これは従来の自律分散システムと区別して共創システムと呼ばれる。特に重要なことは，共創システムにおいては，一般に個体はお互いに異なる感覚を有するということである．このような感覚における個体差は，特に人間社会における様々なシステムを観察すれば，その構成要素の多様性として随所に見られる．