制御系の不変性および伝達情報の変換による遠隔制御法

摘要

実システムに内在する拘束条件(飽和要素) を陽に考慮した系を拘束系として捉え，拘束条件の飽和に起因する制御性能の劣化や不安定化の回避を目的とする制御法が盛hに研究されてきた．その理由の一つに，制御則を設計する際に拘束条件を系統的に(陽に) 扱えることが挙げられる．その一方で，近年のネットワーク通信技術の発展と普及により，ネットワーク化された制御系の解析や設計に関する研究も非常に盛hである．ネットワーク通信路で生じる信号の送信遅延，損失，パケットの到着順入替え，帯域制限や量子化などは，信号の流れ方に対して制約を与えるものであり，一種の拘束条件とみなせる．このような通信路上での現象が系の安定性や達成可能な制御性能と密接な関係にあることはよく知られている．