壁面からのポリマー溶液滲出による乱流摩擦抵抗低減の実験的研究：PIV·PLIF 同時計測による物質拡散に関する考察

摘要

水に微量の直鎖状ポリマーを添加することで乱流摩擦抵抗を大幅に低減させることができ, この減少はToms 効果と呼ばれている．この現象のメカニズムとして, 壁面近傍の準秩序構造にポリマーが働くという事が挙げられている．従って, 壁面近傍のみにポリマーを供給することで, より効果的に抵抗低減が得られ, 船舶などの外部流れにも応用可能であると考えられる．これまで著者らはポリマー溶液を多孔質壁面から微量滲出させることで抵抗低減が生じる事を実証し, この抵抗低減流れに関して, PIV 計測による速度場の解析, PLIF計測による濃度場の解析を行ってきた．そこで, 本研究では, PIV·PLIF同時計測による滲出壁面近傍の乱流質量流束, 物質の乱流拡散係数, 乱流シュミット数の解析を行い, 抵抗低減, 物質拡散低下との関係を考察した．