単層カーボンナノチューブ(SWNT)をカソードに用いた逆型ぺロブスカイト太陽電池の開発

摘要

近年化石燃料の枯渇や地球温暖化が問題視されている中，太陽光発電はエネルギー源が半永久的で環境負荷が小さいと注目され，研究が進hでいる.現在の太陽電池の主流であるシリコン系太陽電池は高効率だが製造工程が複雑でコストが高いという欠点がある.シリコン系太陽電池に対抗する太陽電池の中の一つにぺロブスカイト型結晶を基にしたぺロブスカイト太陽電池(Perovskite solar cell, PSC)があり，製造が簡易でコストが低く形状自由度が高いという利点がある.さらに，従来の有機系太陽電池よりも変換効率や耐久性が優れているという特徴もある.PSCは材料や構造を変えることで太陽光の照射方向に対する電流の向きを変えることができ，それぞれ順型構造や逆型構造と呼ばれている.順型構造は現在最高効率22%以上を記録しているが，ヒステリシスが大きく実用化した際に出力が想定よりを下回ったり不安定になったりすることが懸念される.一方，逆型構造は順型より低効率だがヒステリシスが極めて小さく，製造がより簡易で工業化に適していることなどが特徴であり，近年特に研究され，変換効率が20%を超えたという報告もある.しかし，順型，逆型ともにPSCには蒸着プロセスや金属などの資源的制約·コストの課題が残されている.そこで，特異な電気伝導性や豊かな資源供給性を持つ単層カーボンナノチューブ(Single-walled carbon nanotube, SWNT)を代替材料として用いる研究が進められており，本研究室でも順型PSCの開発が行われてきた.