近赤外光を用いた非接触型微量流量計の研究

摘要

近年の半導体製造分野では, 最小線幅が45 nm 以下のレベルにあり, 急速に微細化が進hできた. そして半導体デバイスの製造環境においては, 次々に新しいプロセスが導入され,ウェハ表面に汚れが付着する機会が増している. それらは歩留まりと信頼性に大きく影響を及ぼすため, 微細化とともに洗浄工程の高精度化も進hでいる. 洗浄工程に使用されている液体の流量計に関しても, 微量流量を高精度に且つ非接触で測定可能であることが求められている. 現在,この分野で主に使用されている流量計は超音波流量計である. 超音波流量計は非接触で測定することが可能であるが, 10 ml/min 以下の流量域において誤差が±2.0 ml/min (FS 100 ml/min)であるため, 微量流量になると誤差の影響が大きくなる.本研究は, 食品や生体の無侵襲測定技術に広く使用されている近赤外分光法と熱式流量計の原理を組合せることにより, 1.0 ml/min～10 ml/min の流量域において誤差が±0.2 ml/min で測定が可能な非接触型微量流量計を開発することを目標としている. これまでの研究により, 脈動のない流れに対してほぼ目標が達成された.今回は信号処理及び加熱方法に変更を加え, ポンプから生じる脈動流の影響を解決する新たな手法を示し, その実験結果について報告する.