量販店舗における空調負荷の実測に関する研究

摘要

業務用建物では全エネルギー消費の30％～50％が空調に費やされている．特に中小規模の業務用建物の空調には，パッケージエアコンやビル用マルチエアコンに代表される個別分散空調が多く用いられるようになっているが，エネルギー消費量削減の観点から，これらエアコンの省エネ性向上が強く求められている．既設の建物に対する空調の省エネには、BEMSに代表されるように空調エネルギー実測から現状の空調設備·運転状況を改善していくことや，建物の空調負荷を測定し適切な容量のエアコンを再配備することが重要である．しかし，後者の空調負荷実測は，大規模なセントラル空調が導入された建物であれば比較的容易であるが、個別分散空調が多数導入された建物では、空調負荷の実測は困難であり，JISなどで与えられている空調負荷モデルの妥当性を実測により検証した例は見当たらない。そこで本研究では、個別分散空調が使用されている量販店舗を例に取り，外気温度とエアコンの電力またはガス消費量を実測し，それらと部分負荷性能試験の結果とを組み合わすことで建物内空調負荷の実測を試みた．また，この実測結果に基づき，空調負荷を解析し，JISで用いられている店舗の空調負荷モデルの妥当性についても検討を加えた．