電動バスにおける充電スケジュールと蓄電池容量の同時最適化の検討

摘要

脱炭素化社会の実現に向け，電気自動車（EV）の普及が進む中，実在都市でのリアルタイム運行データや走行ルート情報を用いた電動バス運行システムの検討(1)など，地域の公共交通機関の電化による温室効果ガス削減へのアプローチがとられている。これまで筆者らは，決められた時刻，ルートを走行する乗合バスの可制御性に着目し，実運行データから運行モデルを形成して，太陽光発電（PV）を供給電力として最大利用する充電スケジュール最適化の研究(2)を行ってきた。そこでは，混合整数線形計画法による電動バス充電スケジュール最適化手法を提案し，PV 設備導入時のPV利用率およびRE 率という二つの指標のトレードオフ関係を示した。しかし，多くの従来研究では電動バス個々の蓄電池容量は固定パラメータとして与えられ，その最適化を目的とする研究は見当たらない。より小さな蓄電池容量での運行が可能となれば，導入を検討するバス運行事業者の初期コストは削減され，更なる電動バス普及つながる。そこで本検討では，電動バス充電スケジュール最適化問題(2)を拡張し，個々のバスが持つ蓄電池の個別の容量最小化と，再生可能エネルギー利用率（RE 率）最大化，あるいは地域のPV 余剰電力量（配電系統逆潮流量[kWh]）の日積算量最小化との同時最適化問題を提案する。