走査音による避難誘導における発信方法の検討

摘要

建造物における避難誘導は，誘導灯や非常口灯を参照して避難者自らが避難経路を探索することが前提にされている．都市部においては，土地の有効利用のため建物の高層化や地下利用が進められ，複雑化しており，避難経路を避難者自身が適切に選択できるとは言い難い．このような状況を回避するために，光点滅信号や音響信号を用いて誘導方向を避難者に動的に示す積極的避難誘導システムが提案，実装されている．光点滅刺激や先行音効果を応用した音響信号を用いた積極的避難誘導については，その設置基準が，日本照明器具工業会によって規定されている．走査された音を用いた避難誘導についての先行研究はほとhどなく，筆者らのグループにおいて，走査される音響刺激を用いて避難誘導の有効性を検証するための基礎的実験を実施し，その結果の報告を行っている．それらの報告において，音走査された音響刺激に対する方向性が認知されることを示すとともに，音源種別や音源時間差などの認識率に影響する要因についての検証結果が報告されている．