トリプチセン分子膜における光吸収と偏光依存性に関する理論的研究

摘要

トリプチセン分子の二次元重合体として提案される人工分子膜（TMM）はsp2炭素原子から構成されるπ電子系である。TMMはトリプチセン分子同士を繋ぐ架橋構造の違いによってZigzag型(図.(a)),とArmchair型(図.(b))に分類される。これらのTMMは密度汎関数理論（DFT）によって熱力学的にも安定した半導体物質であることが指摘されている。[1][2] 特に、TMMのπ電子のネットワークはカゴメ格子上を運動する。したがって、そのエネルギーバンド構造は複数のフラットバンドとDirac分散から構成される。カゴメ格子が有するフラットバンドとDirac分散関係は光吸収に対して興味深い振る舞いを示すことが期待できる。