圧電トランス応用に向けたc軸配向極性反転ZnO薄膜共振子の作製

摘要

IoTの拡大には、センサへのワイヤレス給電技術の向上が重要課題である。電波による発電には RF-DC変換を行うレクテナと呼ばれるデバイスが用いられる。微弱な環境電波をDickson Charge Pumpを用いて昇圧を行う場合、小型化が難しく高周波領域での効率低下などの問題がある。そこで我々の研究グループではレクテナ用昇圧デバイスとして圧電トランス薄膜共振子を提案している[2]。圧電トランス薄膜共振子は図1に示すように入力層と出力層に分かれる。入力層は単層の圧電薄膜から成り、アンテナからの入力マイクロ波を音波に変換し出力層へ伝搬させる役割を担う。一方で出力層は圧電薄膜の極性反転多層構造を有しており、伝搬した音波を受けて高次モードで共振し、再度電気エネルギーに変換する。出力層は入力層と同じ共振周波数でありながら、層数倍の膜厚とインピーダンスを持つ。すなわち共振周波数で動作する圧電トランスとして機能すると考えられる。今回、ZnO圧電薄膜の極性制御を行い、4 層の極性反転共振子の作製を試みた。