静電気照射がナノ共振器シリコンラマンレーザに与える影響(Ⅱ): 発振停止メカニズムの考察

摘要

概要 あらゆる空間で不規則に発生する静電気は，検知が困難な現象として知られ，産業界において様々な問題を引き起こしている．我々は，超小型シリコンラマンレーザを用いた静電気検知技術の開発を目指している．このレーザは図1に示すように，ヘテロ構造ナノ共振器に形成される2つの共振モード（励起モードとストークスモード）をレーザ発振に利用している[1]．2つの共振モードのQ値が高く（典型的にはQp105, QS106），周波数差fがシリコンのラマンシフトと良く一致するサンプルにおいて，励起モードを外部レーザ光源で光励起することでラマンレーザ発振が起こる．前回，図2に示すように，レーザ発振中の共振器に静電気を照射すると，発振が数秒程度で停止することを報告した[2]．今回，静電気照射下で2つの共振モードの共鳴スペクトルを測定して，レーザ発振停止のメカニズムを考察したので報告する．