PWM型入力によるXステージの完全追従制御

摘要

電気機器の省エネルギ化に貢献している技術の一つにパルス幅変調（PWM)方式によるスイッチングアンプの採用 がある。この方式では，通常，各制御周期に高々一つの矩 形パルスを配置した時系列を入力信号として扱い，パルス 高が2値に制限されるものの，パルス幅は任意に調整でき る。そのような入力信号に基づくスィッチの切替によって 電力供給を制御できるので，その損失はかなり小さくでき る。ところが， PWM型入力系の振る舞いは，サンプル点 上のそれに限ってもパルス幅調整に非線形的に影響されて しまい，制御系設計を難しくしている。この問題は古くか ら認識されており，例えば，線形近似法，等価面積法, 非線形変換則を用いた方法が提案されている。著者ら は，制御区間上のパルス波の配置に自由度をもたせるとい うアプローチで，サンプル点上の離散時間系を離散時間線 形系に厳密変換する方法を提案した。例えば二次系の 場合，パルス波の幅に加えて中心位置も可変にすることで， 単入力の離散時間線形系に変換することが可能である。