電力変換回路がCAN通信にもたらす電磁妨害を対象とした新たなEMC対策手法の基礎検討

摘要

本論では，電力変換回路がCAN通信にもたらす電磁妨 害を詳細に解析するために，ノィズ注入システムを構築し た。その上で，降圧チヨッパ回路のDCバスに生じる寄生 振動を起因として通信障害が発生することを，実験検証に よって明らかにした。さらに，通信障害の発生メカニズム に関する考察に基づいて，新たなCAN通信障害緩和手法 を検討した。調歩同期制御は，CAN通信のビットクロッ ク周波数よりも降圧チヨツパ回路のスィツチング周波数 が低い場合に適用可能であり，非常に効果的なEMC対策 手法と考える。しかし，本論で行った調歩同期制御の検証 実験は，降圧チヨッパ回路のスイッチングデューティ比を 0.5固定とした場合であり，PWM制御が行われた場合に ついては，評価を行っていない。また，調歩同期制御を降 圧チヨツパ回路に適用した場合，スィツチング信号にジッ タが生じる恐れがある。PWM制御を行う場合の制御手法 およびジッタの低減手法に関しては今後の課題としたい。