多段ダイアゴナル型パルスMHD加速機のダイアゴナル角に対する推力の依存性

摘要

ダイアゴナル型パルスMHD加速機のダイアゴナル角に対する推力の依存性を評価するために，推力を圧力センサにて計測を行った。電極対数3対，外部印加磁場0.3Tの場合にダイアゴナル角が30°～56°と大きくなるに従い推力が増加した。56°と70°の場合を比較すると70°の場合にはばらつきが大きいが，同程度の最大推力となる場合があることがわかった。また，30°の場合を除き，印加した電流のパルス幅よりも推力の発生パルス幅が大きくなった。ダイアゴナル角を変化に伴うチャネル内の電位分布が変化するため，チャネル間に印加される電圧を評価した。ダイアゴナル角の増加に伴いチャネル間電圧の増加が明らかとなった。これは，ダイアゴナル角増加に伴いファラデー電流密度が増加するように電流べクトルが変化する。その結果，MHDチャネル内を通る電流パスが実効的に長くなるため，導電率が一定と仮定すれば，MHDチャネル内のインピーダンスが大きくなっていると考えられる。ダイアゴナル角とチャネル間電圧の関係を評価するため，チャネル間電圧と放電電流の積である平均投入エネルギーを算出した。ダイアゴナル角の増加に伴う投入エネルギーの増加が明らかとなった。一定の投入エネルギーで生み出すことのできる推力電力比を求めた結果，電極対数3対，外部印加磁場0.3Tのダイアゴナル型パルスMHD加速機ではダイアゴナル角56°の場合で最大となることが明らかとなった。