数値ラプラス変換における指数窓と変換精度の関係

摘要

雷サージなどの過渡現象に係わる研究者が，実験や解析で電流や電圧の時間特性(i(t)やv(t))を得た場合，その波形に含まれる周波数成分を知りたいと思うことがあるだろう。例えば，風力発電システムなどの過渡接地特性を知りたい場合，接地システムに急峻波電流を注入し，遠方に埋設した接地極と測定対象の接地システム間の電位差(測定対象接地システムの電位上昇)を測定する実験を行ったり，数値電磁界解析したりする。そして，そこで得られた電流波形i(t)，電圧波形v(t)を数値フーリエ·ラプラス変換し，それぞれの周波数特性I(f)，V(f)を得て，それらから接地システムの接地インピーダンスZ(f)＝V(f)/I(f)を求めことができる。このように説明すれば皆容易に時間特性から周波数特性を得ることが出来るように思えるが，電流波形i(t)や電圧波形v(t)の時間特性は単一パルス波形(0≤t≤T_(max)でのみ値が存在する波形)であり，かつ，その波尾部ではゼロに収束していないことが多く，精度良く変換することは意外と難しい。