高機能VecTwin 舵の特殊操舵時における流体性能に関する一考察（第一報）

摘要

現在、様々な自動運航船に関するプロジェクトが進行しており、新しい技術の開発に各国がしのぎを削っている。本研究室でも、自動着桟技術について、特に制御の観点から研究を行っている。ところで、これまでにも多くの自動着桟に関する研究が行われているが、着桟制御について、特にハード面に関する研究開発は、さほど縦深的には行われてはいないように見える。一般に、自動運航船は、通常船舶に比して冗長性の高い制御システムを備えるべきであることは明らかである。特に、着桟の終末段階の低速操船時、通常舵の船舶では舵の寄与が相当小さくなると考えられる。しかし、ここで目を特殊・高機能舵に転じると、例えばVecTwin 舵システムでは、低速操船におけるマヌーバに大きな可能性があることが分かる。すなわち、VecTwin 舵は、他の同様な高機能システム、例えばPOD 推進器など、と似たような制御の冗長性を持つ。しかし、例えばPOD 推進器と異なり、VecTwin 舵では、配置に大きな影響を及ぼすことがなく、ユニットコストも小さい。また、小さなコストで、重要保安機能の二重化を達成できるという著しい利点もある。