技術者コンビテンシ一育成のための工学系ジェネリックスキル評価の検討

摘要

近年の急速な産業のグローバル化，技術革新の進展等により社会•産業の変化はめまぐるしく予測困難である.これに伴い社会が解決すべき課題も複雑に変化することが予想される.このような背景のものに，社会から必要とされる人材や能力は一般教養•基礎知識，専門知識に加えて汎用的な能力（ジェネリックスキル）の重要性が認識されている.近年PISAリテラシー，21世紀型スキル，キーコンビテンシーなどの新しい概念が世界中で広まつてきている.これらの概念では学生が能動的に学び続ける能力，知識を活用する能力，コミュニケーション能力などが重要と考えられている.我々は大学•高専などの高等教育における基礎力，専門力，ジェネリックスキルは別々に育成される能力ではなく，それぞれが協働的に育成されることが重要と考えている.特にジェネリックスキルでは専門や基礎力と協働して育成することにより，技術者として活躍するために必要な行動特性である技術者コンビテンシーを育成できると考え教材や教授法の開発を行ってきた.国立高専機構では技術者に必要なジェネリックスキル育成のために（1)ジェネリックスキルも含めた学生が習得する基礎•専門知識，汎用的能力の到達目標を示したモデルコアカリキュラム（MCC)の導入,(2)アクティブラーニングの促進，（3)学習到達度を検証するCBTの開発.ジェネリックスキル評価法の確立，（4)教育改善活動（FD)の促進，教材•教科書の開発などが組織的に行われている.本研究ではジェネリックスキル評価法の確立の一環として開発されている技術者に必要なジェネリックスキル，コンビテンス評価のための問題作製の取り組み状況について報告する.