遺伝的アルゴリズムによる芳香療法のための精油調合パターン最適化における共起解析

摘要

芳香療法における精油の調合に対する遺伝的アルゴリズムを用いた最適化手法について，本稿では，調合に含まれる精油の組み合わせについて新たな知見を得ることを目的とし，提案手法により生成された調合パターンの特徴を明らかにするため，精油の出現頻度分析および共起関係分析による解析を行った．精油の出現頻度分析では，目的関数として用いた香調，香りの強さ，香りの持続性の3 つの属性と各精油の出現頻度について分析を行い，利用者の嗜好と合致する香調の精油が最も多く出現し，次いで各属性による相性の良さに基づいた精油が多く出現していることが伺えた．精油の共起関係分析では，出現頻度分析の結果を踏まえ，利用者の嗜好である柑橘系の精油を中心として他の精油との共起回数について分析した．分析の結果，出現頻度の高い柑橘系の精油に関して，香調を基準に相性の良い精油と共起関係にあることが伺えた．さらに，嗜好とは異なる系統の精油に関して，いくつかの精油に共起関係があることが示唆された．これらの結果から，いくつかの精油を共起することで，相性の良い調合を生成することができるのではないかと考える．今後は，複雑な調合の特徴を明らかにするため，今回の実験で多く出現したメリッサなどの特定の精油に対して，他の精油との関係やその精油の性質について検討を行うことが課題であると考える．