フレキシブルエレクトロニクスに貢献する電気接続と要素技術

摘要

電子デバイスの基板のフレキシブル化には，一般にフレキシブルプリント配線板（FPC: Flexible Printed Circuit）が幅広い分野に適用されている．しかしながら，FPC とフレキシブルな電子デバイスとの接続やFPC への電子部品の実装には，専用のコネクタもしくは異方性導電フィルム（ACF: Anisotropic Conductive Film）が用いられる場合が多く，いくつかの課題を生じることがある．コネクタによる接続では，対面する電極どうしの導通確保には機械的な垂直力に依存しているため，十分な垂直力を維持したままのコネクタの小型化は機構設計的に困難である．すなわち，従来のコネクタ開発手法の延長では，「小型化による接続部の柔軟性」という課題を達成することはできない．一方，ACF は導電性粒子が熱硬化性樹脂に分散されたフィルム状の接着剤である．熱と圧力が印加されることで対面する電極間に挟持された導電性粒子を介して導通を得る手法であるため，デバイスの基板に用いられる有機物のフィルムとの熱膨張係数の差に起因する基板の変形や電極のピッチずれなどの不具合を誘発するおそれがある．以上の背景を踏まえ、筆者らは将来のフレキシブルな電子デバイスの機能・意匠に過不足なく調和し電気的な接続を確保する技術，すなわち，低背で接続時に熱を必要とせず，接続部を任意の曲率半径で曲げることが可能となる接続技術の開発に取り組hできた．本講演では，フレキシブルなインターポーザを概念モデルとして，それを用いたいくつかの応用例とそのデバイスに関わる要素技術について紹介する．