イオン交換樹脂を併用した三次元集積化マイクロソリューションプラズマによる過酸化水素の生成効率向上

摘要

過酸化水素は，製紙の際のパルプ漂白や廃水処理，化学研磨液，シリコンウエハの洗浄剤など様々な用途で用いられる．工業用の過酸化水素は，これまでアントラキノン法という方法で主に製造されてきた．この方法は，水不溶性の有機溶媒中で2-アルキルアントラキノン等のアントラキノン誘導体を，触媒によって水素化しアントラヒドロキノン化する．その際，触媒にはNi やPd が用いられる．触媒を濾過によって分離した後，アントラヒドロキノンと空気中の酸素を接触させ，アントラヒドロキノンを酸化する．酸化したアントラヒドロキノンは，過酸化水素及び2-アルキルアントラキノンを生成する．こうして生成した過酸化水素を水で抽出して分離する．この方法は，大量生産向けであるため，設備が大型であり，設備費が高い．また，多段の複雑なプロセスが必要である．以上のような課題を解決するために，近年，オンサイトのコンパクトな過酸化水素合成法が求められている．そこで，本研究では，これまでに我々が培ってきた水中プラズマ生成技術である三次元集積化マイクロソリューションプラズマ(3D IMSP)を過酸化水素のオンサイト合成に適用することを試みた．