芸術と芸術療法の融合に対する認識の解明：統計的視点からのアプローチ

摘要

わが国では、精神科医療や心理臨床において絵画や音楽などの芸術活動が用いられ、「芸術療法」として発展を遂げてきた。その特徴として、作品の芸術性というよりも、創作を通じたクライアントの変化を重視し、促進するといった点が挙げられている。同時に、芸術療法の活動に、芸術性の追求といった「芸術」の視点を取り入れることで、同分野の技法やカリキュラムの発展が期待されているという側面もある。そこで、本研究では、芸術療法に携わる人々の芸術・芸術療法に対する認識と、両分野の融合に対する考え方を理解するために、質問紙調査を実施した。調査結果の定量的な分析により、芸術家・臨床家といった人々の認識の差異を明らかにし、今後の連携の方向性を提示することを目的とした。