カプセル内視鏡の磁気誘導に関する最新動向

摘要

すべての病気に対して，早期発見，低侵襲医療は患者にとつて非常に嬉しいことである。そういった背景をベースに，病気を診断，治療するための医療機器は日進月歩で患者の生活の質の向上，苦痛を伴わない治療を求め研究開発が行われている。そのような機器の一例で「飲み込む内視鏡」としてカプセル内視鏡(Capsule Endoscope以降，CEと称す。）が開発された。これは，従来の内視鏡検査では難しかつた小腸の病変の検出も可能にする機器である。しかし，CE検査における診断精度の点に関して，病変の観察率（6mm以上のポリープに対する）は90%前後と100%に到達していないのが現状である。また，カプセルが体内で滞留してしまう可能性が1.6 ~ 2.5%と報告されている。他にもCEの課題には「診断精度向上」，「診断の迅速化」，「低侵襲化，安全性」などがある。これらの原因として，体内に入ったカプセルは蠕動運動に依存して移動しているため，体内での制御が容易でないことが考えられる。そこで，診断精度の向上や診断の迅速化を目的として，CEの体内制御技術に注目が集まっている。制御方法の一つとして，「磁気誘導式」と呼ばれる方法が存在する。これは体内のCEを磁界により誘導するという方法であり，コイルや永久磁石等の磁界を発生させる装置を用いる。