永久磁石同期モータのための高周波電圧印加と最小次元D 因子拡張磁束状態オブザーバを用いた広範囲センサレス駆動法

摘要

永久磁石同期モータ（以下PMSM）の回転子位相推定法として，ゼロ・低速域用の高周波信号印加法と中・高速域用の誘起電圧相当値を処理して位相推定値を得る誘起電圧利用法がある。誘起電圧の信号レベルは，PMSM の回転速度に比例して増減するため，ゼロ速度を含む低速領域において，誘起電圧利用法は位相推定値を安定的に生成しえない。高周波信号印加法は，PMSM の駆動とは関わりの無い高周波信号を印加し，その応答から回転子位相の推定を行うものである。高周波信号印加法は，高負荷，高速状態において，電圧・電流制限等により，位相情報に十分な信号レベルを確保できない場合がある。また，駆動とは関わりの無い信号を印加するため，これに起因した脈動トルクが生じる問題もある。