紫外線照射による水溶液中ェンドトキシンの不活化

摘要

ェンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁を構成するリポ多糖で、発熱性物質として知られており、生体内に直接導入される注射剤等において厳重な管理が求められている。エンドトキシンは高い耐熱性があり、オートクレープ処理程度では完全に失活することができないので、完全に失活させるためには250°C以上で30分以上の乾熱滅菌が必要である。ェンドトキシンは一般的に生体に対して非常に多彩な作用を示し、特に臨床分野で敗血症に伴うDIC(汎発性血管内凝固症候群）、MOF(多臓器障害）、ェンドトキシンショックに至る極めて致死率の高い疾患を引き起こす原因物質として臨床上の大きな問題となっている。ェンドトキシンは強力な毒素であり、環境中に広く常在している細菌に由来するために簡単に汚染が起こる。しかも非常に安定な物質であるため一旦汚染が起こると、たとえ菌を死滅させてもエンドトキシンそのものは残存し、除去もしくは失活させることが困難であり、しかも微量で活性を示す。このような特性ゆえに、現在もエンドトキシン除去に多くのエネルギーやコストが必要となっているが、決定的な対策が得られず、苦慮させられているのが現状である。