水銀を用いないCOD_(cr)測定のための塩化物イオンマスキング法としての硫酸銀過剰添加の効果

摘要

2017年8月16日に水銀の適切な管理を目的とした水銀に関する水俣条約が発効され、条約の発効に伴い、水侯条約の的確かつ円滑な実施のため、日本では、2015年6月に水銀による環境の汚染の防止に関する法律が成立した。よって、国内外に問わず、水銀の使用と廃棄が制限されることが推測される。CODは、水質汚濁の指標として重要な項目のひとつであり、諸外国では一般的に、有機物の収支を正確に把握する上で分解度合が高い、酸化剤にニクロム酸カリウムを用いるCOD_(cr)が使われる。COD_(cr)には酸化分解反応の触媒として硫酸銀が用いられている。銀イオンの最も一般的な妨害物は塩化物イオンである。塩化物イオンは銀イオンと反応して、塩化銀を生成し、銀イオンの触媒作用を阻害する。銀触媒に悪影響を与える塩化物イオンのマスキング剤として硫酸水銀が使用される。以上のように、水銀の使用と廃棄の制限により、COD_(cr)には硫酸水銀が使用されることから、測定法として認められないことが予想される。しかし、COD_(cr)は有用なCODの測定方法であることから、本研究では、硫酸水銀を用いないCOD_(Cr)法を開発することを目的とした。