統計資料を用いた地域特性の分析:京都府における過疎地域の保健・医療・福祉サービスの連携に関する研究１

摘要

医療を取り巻く社会的問題に，高齢化社会に伴う社会保障費の増大，医師の偏在による地方の医師不足の慢性化，診療科の閉鎖や病院の破綻などがある。このような状況下，総合医や家庭医と呼ばれるかかりつけ医が着目され，施策としても在宅ケアへのシフト，地域包括ケアの推奨が見られる。とりわけ過疎地域おいては，人口減少・高齢化，医師不足が深刻化し，地域包括ケアの整備が急務となっている。過疎地域の地域医療問題は医療資源，地理的条件，産業・世帯構造等の地域事情を孕hだものであり，一律的な捉え方や整備指針は困難である。しかし全て個別解でもないと考えられる。よって，まず地域特性を明らかにし，次に保健・医療・福祉の連携体制の実態および課題把握を行い，地域の実態・課題と地域特性の関係の明確化することが必要と考える。地域特性を生活の観点から検討する場合，統計的に顕れる数量データと実空間に顕れる集落位置・インフラ・施設位置などがある。そこで本報では，統計的分析から地域特性を明らかにすることを目的とする。