フクギによる強風に対する防風効果と弱風に対する防風効果

摘要

本研究室では2010年以来、国指定重要文化財中村家住宅（沖縄県中頭郡北中城村字大城）の調査を行っている。中村家住宅など、沖縄地方の伝統的民家は、周囲をフクギで囲hだフクギ屋敷林を持つものが多い。フクギ（福木、 Garcinia subelliptica）は樹高10m～20mの常緑高木の外来種である。フクギ屋敷林は、防風だけでなく、防潮、防砂、防火などにも効果があるとされる。本研究室ではフクギの防風効果を確認するため、 2011年7月、中村家住宅隣りの、フクギ屋敷林をもつ敷地内(空き地)に自記気象観測システムを設置・観測していたところ、偶然にも2011年台風第9号(以下「 201109号」とよぶ)が襲来し、沖縄本島南部は、2011年8月4未明から6日正午ごろにかけ、長時間にわたって暴風圏に巻き込まれた。那覇、宮城島のAMeDAS観測局では、それぞれ最大瞬間風速42.5［ m/s］、47.1［ m/s］を記録した。この間も我々の設置した観測装置は測定を継続し、暴風時の風速データなどを記録することができた。フクギ屋敷林内の暴風時における最大瞬間風速は11.6［ m/s］で、フクギ屋敷林の優れた防風効果を示唆するものであった。本研究はこのときのデータをもとに、フクギ屋敷林の防風効果について評価、報告を行うものである。また、フクギ屋敷林の中において、平時、風が遮断されていると実感することは少ない。本報では平常時における風況についても2012年に調査を行い、平常時における防風効果の評価を行い、暴風時のものと比較した。