建物外壁における藻類の生育状況に関する研究仁和寺九所明神での藻類生育と外壁表面温度についての考察

摘要

仁和寺九所明神は寛永年間に建立され、国の重要文化財に指定されている。白い外壁に朱色の伽藍を持つ美しい建物であるが、最近、白い外壁壁面の一部あるいは全体が黒く変色する現象が発生している。これは大気中に生育する藻類の付着・生育によるものと考えられるが、このような外壁表面における気生藻類の生育は、景観面における問題だけではなく、表面剥離などの問題を引き起こす可能性もあるため早急に対処せねばならない。そのためには、どのような要因が外壁表面での気生藻類の生育を引き起こしているかを明らかにする必要がある。2011年10月から仁和寺九所明神で温湿度測定を行っているが、本報では特に外壁表面の気生藻類の生育条件と温度との関係について考察を行う。