風速の地形による影響評価に関する検討 その１ CFDによる手法の導入

摘要

建築物の耐風設計を行う際に，地形の影響により設計風速が増速される恐れがある場合は，平成12年建設省告示第1454号第1第2項ただし書きに基づき，風速の割り増しを評価することになっている。実際の設計で風速の割り増しを評価しなければならない場合，これまで建築構造物の風荷重評価に対して一般的に用いられてきた風洞実験技術の使用が考えられる。しかしながら，風洞実験で地形の影響を評価するとしても，その対象となる地形のスケールの大きさならびに地形の連続する形態から，地形モデルとして切り出した領域の風洞内部でのブロッキングの除去，風洞側壁での風の流れの再現などの課題が多く，技術の適切さを判断することは容易ではない。一方，近年では風力発電用風車の支持構造物における耐風設計の実施例において，特別な設備を必要としない数値流体計算によって増速の影響を評価する場合が増えてきている。しかしながら，計算の妥当性の評価基準について明確な情報が示されていないため，今後の数値流体計算技術の使用頻度が高まる傾向を踏まえると，技術的な評価基準の明確化，さらには適切な計算法・計算モデルの具体的な提案が望まれている。